「てんぷら矢吹」 この道60年

 最初に揚げたての車海老を口元にはこんだ瞬間、何とも言えない香りを感じました。「ワァー、これは…..」。もう言葉がありません。皆さんもぜひ、「てんぷら矢吹」に足をはこんでみてはと思います。
 

      

修学旅行での感動

 矢吹恭一さんは神戸で生まれました。中学の修学旅行で東京に来たとき、自由時間にお兄さんの働く銀座「天一」を訪ねました。そこでご馳走になったてんぷらに感動しました。自分もこういうてんぷらを作りたいと強く思い、卒業後上京して「天一」で働くことになったのです。新入りは自分ひとり。朝から晩までだいこんをおろした日、つらい事やくやしい思いもしました。「いろいろありましたが今はそれが全て役にたっています」と笑顔で話しました。19年修行して、独立は35歳のとき。「天一時代、とても懇意にしていただいたお客様が、骨を折ってくれました。その方との出会いがなければ今の自分はなかったでしょう。」と、とても恩義に感じていらっしゃるようすでした。
 

「店を出せばお客が来るというものではない!」

「天一」創業者の言葉です。高井戸には、同業のお店もたくさんあります。1年半位は苦労しましたが、お客様がお客様を紹介して、経営も軌道に乗ったそうです。「口伝えで少しずつ軌道に乗って行きました、お客様のおかげです。本当にお客様に感謝しております」と当時を振り返りました。
 

 自分の作ったてんぷらに合うお酒にも深いこだわりがあります。いま出している日本酒は「玉の光」「羽黒山」、ビールは「キリン一番搾り」。お酒の話題になると、矢吹さんの顔もほころび話が弾みます。
「人気の銘柄で入手困難なお酒でも絶対に品切れをおこさない、てんぷらとお酒を楽しみに来られたお客様に『お酒が切れています』ではガッカリされるでしょう。こんな失礼はありません」。と、少し強い口調になりました。

労を惜しまず、心、からだで伝える

「労を惜しまない」。これがてんぷら矢吹のモットーです。いつもこの姿勢を忘れずにまな板と鍋の前に立ってきました。現在は、サラリーマンを経験後、料理学校に通った息子さんと二人で店を切盛りしています。もちろん、カウンターの中では息子 優行さんもてんぷらを揚げます。
「将来は息子にとの思いはあります」と話していましたが、75歳の矢吹さんはとてもお元気です。てんぷら一筋の人生はまだまだ続くことでしょう。

てんぷら 矢 吹

住所:東京都杉並区高井戸東3-28-24 ドムス高井戸1F
電話:03-3334-0070
営業時間:11:30~14:00  17:00~21:00
定休日:毎週水曜日、木曜日(定休日が祝日の場合は営業します)
* 定休日の情報は2017.1.11に確認、変更させて頂きました。
・京王井の頭線 高井戸駅下車 環八を北へ徒歩8分 環八井の頭交差点を右へ井の頭通りを永福町方面へ50m右側
・JR荻窪駅南口 バス4番乗り場「芦花公園行」下車10分 バス停「井の頭通り」下車1分
・駐車場4台
文章 冨澤信浩 協力 岡村繁雄
写真 奥村森
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